当協会は、このほど『キャンピングカー白書2012』を発行いたしましたが、調査結果により、昨年度のキャンピングカー販売は、東日本大震災の影響の大きさにもかかわらず、出荷台数および売上金額ともに微減にとどめ、比較的堅調に推移していることが分かりました。またユーザーの中心層は、60歳代がトップに立ち、40歳代から70歳代だけで全体の92.3%を占める結果となりました。
年の国産キャンピングカーの新車の総出荷台数は3,815台となり、前年の4,028台を213台下回って前年比5.3%減となりました。
しかしながら、昨年3月11日に東北・北関東を襲った東日本大震災の影響により、GWから夏休みという受注が最も集中する時期に製品供給がままならなくなったことや、国産車の大きな海外生産拠点のひとつであるタイが洪水に見舞われ、パーツ調達などに支障をきたすという追い打ちがあったことを考えると、前年比の5.3%減にとどまったということは、国産キャンピングカーの出荷台数は、意外と堅調に推移したと見ることができます。 また、国産キャンピングカーメーカーおよび輸入車販売店などが計上した売上総額においても、このような震災の影響を被りながら総額210億9,206万円を計上し、前年比3.5%減にとどめました。
どのようなキャンピングカーが売れているのかという調査に関しても、昨年度は変化が現われました。 国産キャンピングカーの出荷状況を種類別にみると、これまではサイズが多少大きく、架装範囲も広くて装備が充実していた「キャブコン」と呼ばれるキャンピングカーが売上げでトップを維持してきましたが、昨年は、ワンボックスカーなどをベースにして機動力を高めた「バンコン」が1,444台を記録して、全体の構成比で37.9%を占め、売れ筋車種のトップに立ちました。
それに続いたのが簡易的なキャンピング装備を組み込んだ「8ナンバー以外」と呼ばれる車両で、トータル1,221台を記録して2番になりました。(※図表1) 昨今ブームの軽自動車キャンピングカーは総出荷台数855台を記録。前年比29.5%増という統計を取り始めて以来もっとも顕著な伸び率を示しました。
これらのことから、現在はサイズ的にも価格的にも、誰もが気楽に楽しめるキャンピングカーに人気が集まってくる傾向が浮かび上がってきます。 また、以上のようなデータを総合すると、日本国内におけるキャンピングカーの総保有台数は、約7万5,600台と見積もることができるようになりました。
キャンピングカーユーザーを年齢構成別に調べてみると、「60歳代」が前回の調査より4ポイントアップの34.3%を記録し、全世代中トップに立ちました。 また、前回調査では3.2%にとどまっていた「70歳代」が今回は5.3%まで増え、40歳代から70歳代だけで全体の92.3%を占めるという、熟年世代のユーザー層が厚くなってきた状況を明らかにしました。
また、ユーザーの世帯収入を調べてみると、これまでトップを続けてきた「世帯収入1,000万円以上」という回答が2.7ポイント下がり、代わりに「400万円未満」という回答が4.0ポイントアップの19.4%となってトップになりました。
このことは、キャンピングカーが一部の富裕層だけのものではなく、日本の世帯収入の中軸を占める人たちの間にも浸透してきたことを物語っているといえます。 さらに定年退職して、実質的な世帯収入は減少したにもかかわらず、子供たちが独立した世帯を持つようになったために、支出が減ってもキャンピングカーを維持しやすくなった人たちが増えていることも意味しているといえるでしょう。
キャンピングカー旅行の"同行者"を調査した結果、一番多いのは「夫婦2人で」という回答で、前回調査を4ポイント上回り、全体の56.9%を占めました。
このことから、定年退職を迎え、ハッピーリタイアメントしたシニアユーザーが「夫婦二人でのんびりとキャンピングカー旅行を始める」という状況が伝わってきます。
このような子育てを終えた夫婦は、子供の代わりにペットを同行する機会も多く、ペット連れでキャンピングカーを利用している人々は前年調査より1ポイント多い40.1%となりました。
また「キャンピングカーの購入動機」を尋ねた質問においても、「ペット連れの旅行に最適と判断した」という回答が33.3%を占めて2番手に上がっており、ペット愛好家の間にもキャンピングカーが浸透してきている様子がうかがえます。
キャンピングカーを購入してから、旅行のスタイルがどのように変わったかという調査を行った結果、「立ち寄り温泉や観光施設をめぐるのが楽になった」という回答が、前回より2.9ポイント上昇して、49.2%という数値(複数回答)を示し、2番目に入りました。
また、キャンピングカー旅行の必需品として、いつも必ず携行していくものを記入式で回答してもらった結果、1位は「温泉セット」で、前回1位だった「カメラ」を上回り、調査を開始して以来はじめてトップとなりました。
これらのことからも、キャンピングカーユーザーの行動パターンとして「温泉めぐり」が大きな柱となったことが伝わってきます。