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  3. 町田厚成2018年03月16日付けコラム
コラム

子供はいくつになるまで親の
キャンピングカー旅行について来るか?

 あるキャンピングカーの試乗企画があり、取材先での夜、キャンピングカーライターの岩田一成さんと酒を酌み交わす機会があった。
 岩田さんは、ゼロ歳のお子さんをキャンピングカーに乗せて北海道旅行を楽しみ、そのレポートをご自身の本にも書かれている。さらに、このJRVAのエッセイでも、小さいお子さんと家族旅行したときの体験記をいくつか発表され、今やキャンピングカーのファミリー旅行に関して、もっとも信頼できる情報を提供できるライターさんとして知られるようになった。
 そんな岩田さんに、「キャンピングカーの買い時のベストタイミング」および「子連れキャンピングカー旅行のコツ」について有意義なお話をうかがうことできた。
 
▲ 左が岩田さん&右が私
 
▼ 岩田一成さん著 『人生を10倍豊かにする至福のキャンピングカー入門』
 
 
【町田】 岩田さんは、そもそもアメ車やカスタムカーのライターとしてスタートされたのに、何がきっかけでキャンピングカーを購入しようという気持ちになられたんですか?
【岩田】 このJRVAのエッセイでも過去に書いたことがあるんですけれど、「子供と一緒に過ごせる限られた時間を大切にしたい」という思いが非常に強くなってきたからですね。
 それで、キャンピングカーを購入し、長女が5歳、長男が0歳のときに、18日間に及ぶ北海道のキャンピングカー旅行を体験してきました。
 
【町田】 「0歳」というのがすごいですね! 長期旅行に対する不安はありませんでしたか?

【岩田】 逆にいうと、その“不安”を取り除くために、キャンピングカーを利用したということなんです。
 というのは、キャンピングカーというのは、強靭な外板に守られたプライベート空間を維持したまま旅行できる乗り物ですから、子供が体調を崩しても、いかようにも対処できる。
 また子供が夜泣きしても、周囲に迷惑をかけない。テントキャンプなら周りの人に気を使うでしょうし、ホテルや旅館でも、他の宿泊客や従業員に心配させてしまいますから。
 
【町田】 これは岩田さんのエッセイの重要なテーマの一つだと思いますが、いったいいつまで「子供を連れたキャンピングカー旅行」を楽しめるのか。
 多くのユーザーは、「子供が中学生になって部活などを始めると、もう親の旅行にはついて来ない」などと言いますが、そういうときに親はどう対処すればいいのか。

【岩田】 確かに、そういう事例はよく聞きますね。わが家もまさにその問題に直面したことがあります。
 結論から先にいうと、「親が子供とのキャンピングカー旅行を諦めたとき」に、ファミリーキャンピングカー旅行は終了します。
 確かに、小学生までは親と一緒に旅行していた子供たちも、中学に進むと生活はガラッと変わりますよね。親との交流より、部活や友達付き合いの方が優先されますから。
 そういうときに、「部活があるから今年の家族旅行は無理だね」と親が思った瞬間、そこから先の家族旅行もなくなる。
 
 
▼ 岩田さんの家族旅行(「PHOTO/岩田一成」)
 
 
【町田】 一度「無理だ」と納得してしまうと、その後も、一緒に旅行に行くことを諦めてしまうということですか?

【岩田】 その通りです。私の場合、長女が中学で運動部に入ってから、なかなか一緒に旅行するタイミングが取りづらくなってきたんですよ。わが家の場合は、毎年夏になると北海道のキャンプ旅行を楽しんでいましたから、どうしても夏には家族全員で北海道に行きたい。
 しかし、娘は「部活のため夏休みは3日しか取れない」という。
 そこで、いろいり思案をめぐらし、娘と母親は飛行機を使って新千歳空港まで来るようにしたんですね。そして彼女たちが来るまで、僕と長男だけは先に北海道に行ってキャンプ旅行を楽しむと。
  
【町田】 なるほど。良いアイデアですね。
【岩田】 おかげで、僕と長男はそれまで経験したことがなかった長期の“男の2人旅”を堪能し、長女と家内は、短い時間でしたけれど、恒例の家族そろっての夏の北海道を味わうことができたわけです。

【町田】 つまり、あきらめずに、いろいろとアイデアを出していけば、どんなに忙しくても、結果的にファミリー旅行を楽しめるというわけですね。
【岩田】 そうです。子供がほんとうに大きくなって、親から独立したいと思うようになったら、もう拘束しませんが、少なくとも子供が親と一緒に楽しみたいと思っている以上は、それを叶えてあげたいですからね。
 
 
▼ 岩田さんのご長男とのキャンプ旅行(「PHOTO/岩田一成」)
 
 
【町田】 「子育てが終わったシニア夫婦の2人旅」とかよく言いますけれど、僕ね、子供たちとたくさん楽しんだ夫婦と、そういう経験が乏しかった夫婦とでは、同じキャンピングカー2人旅でも、中味の濃さがまったく違うように思うんですよ。
 というのは、夫婦の2人旅になってからも、同じキャンピングカーで旅行していれば、車内に小さいときの子供の生活ぶりがしみ込んでいるんです。
 「あのバンクに上るのに、あの子そうとう苦労していたわよね」とか。
 そういう子供と旅した記憶というのは、夜更けに車内で夫婦が酒を飲んだりするときの時間をとても豊かにするんですね。
 
【岩田】 それはよく分かるなぁ。僕はまだ子供と一緒に旅行しているけれど、夫婦とも年を取ってきたら、そうなるかもしれない。だから、今の話はリアルなものに聞こえますよ。
【町田】 先ほどの話で、ご長男さんと“男の2人旅”を楽しまれたということでしたけれど、男同士の旅って、なかなかいいもんですよね。

【岩田】 ええ。そのとき長男はまだ8歳の小学3年生だったんですよ。でもね、僕は彼をゲスト扱いにしなかったんですね。あくまでも同じ車で旅するクルー。「チームイワタ」の一員として、キャンプ場泊における設営・撤収、炊事、水タンク運びなどなんでも手伝わせました。
 そうしているうちに、彼は自分でできることを探して、率先して仕事に取り組むようになったんですね。その姿はなかなか感動的でした。
 
 
▼ 岩田さんのご長男とのキャンプ旅行(「PHOTO/岩田一成」)
 
 
【町田】 あ、分かります。僕も同じような体験を持ったから。やはり高校2年の長男を、『キャンプ場ガイド』の取材旅行で北海道を回るときの“雑用係”として同行させたことがあるんです。アルバイト代を払ってやるからといって(笑)。
 小さいときは、一緒にキャンピングカー旅行をしていましたけれど、もう高校になると、遊ぶときは完全に自分の仲間同士だけ。キャンピングカーなんか見向きもしなくなったんですね。
 でも、久しぶりに誘ってみたら、「一緒に北海道に行く」というんですよ。
 
 
▼ 町田家長男とのキャンプ旅行
 

【岩田】 小さいときにキャンピングカー旅行の楽しさを経験していると、そういう気持ちになるんでしょうね。
【町田】 そうなんです。北海道行きに誘う前は、家のなかにいても、ほとんど親子の会話というものはなかったんですよ。
 でも、実際に旅が始まると、彼も変わってきたんですね。
 キャンピングカーの車内って狭いから、お互いに逃げる場所がないため、話すしかないんです。
 つまり、長い道中会話によってコミュニケーションを取るしか楽しみがないのね。
 
 
 

【岩田】 ああ、関係性の再構築みたいなものですよね。それって、「親」とか「子」という関係性がいったん崩れ、そこから「人間」と「人間」の新しい関係が始まるということですよね。

【町田】 おっしゃるとおりです。そういう関係の再構築に、キャンピングカーってとっても便利なツールですよね。特にキャブコンともなると、快適な居住環境を維持するための作業がたくさん出てくるじゃないですか。
 そのとき、車の冷蔵庫は3ウェイでしたから、「俺が取材している間に、ガスと電気を切り替えておけ」とか、キャンプ場に泊まったら、「オーニングを出しておけ」とか「AC電源に接続しておけ」とかね。彼にはこなさなければならない “雑用” がいっぱい出てきたわけ。
 でも、そういう作業のなかから、「お互いが同じクルーなんだ」という連帯感が生まれてきて、それがコミュニケーションの基盤になっていくわけですね。
 
 
 
 
【岩田】 もうほんとうに僕が長男と2人旅をしたときと同じですね(笑)。

【町田】 そういうように、キャンピングカーというのは、親子や夫婦の絆を確認し合うのにとても便利なツールだと思うんですが、“買いどき” というものがあるんでしょうか。
 よく、「キャンピングカーを買いたくても、子供が小さい頃はおカネが貯まっておらず、キャンピングカーを買えるようになったら、今度は子供が大きくなってしまった」とか言いますけど…。
 
【岩田】 僕ね、「欲しいときが買いどき」だと思っています。確かに「欲しいけれどおカネがない」という人はいらっしゃいます。
 でもね、「子供と一緒に旅行したい」と思っている人ならば、無理しても買った方がいい。おカネの方はなんとかなるけれど、子供が成長していくことは止められない。皆さんが思っている以上に、子供と一緒に旅行できる時間というのは短いんです。
 むしろ、おカネの方がなんとかなるものなんです。だって、120回ローンっていうのもあるんですよ。10年ローンです。そういうローンを組んでキャンピングカーを買っている人を僕は何人も知っています。
 それにキャンピングカーは要らなくなったら、売ればいいんです。キャンピングカーって乗用車に比べると、はるかに高く売れるから、けっして損な買い物にならないんです。
 
【町田】 そうだよねぇ。よくキャンピングカーショーに毎年来て、カタログだけ集めてため息つきながら帰っていく人がいますけれど、欲しいのならさっさと決断した方が楽しいと思うんですけどね。

【岩田】 もったいないですよ。早くキャンピングカー旅行を体験した方が、人生も豊かになりますから。
【町田】 旦那さんには、奥さんを説得するプレゼン能力も必要になるでしょうね。
【岩田】 そうですよね。「キャンピングカーを買ったら、お前にも楽しい旅行が体験できるよ」という説得力ね。
 
【町田】 それには、常日頃から奥さんを楽しませるような気配りが大事になってきますよね。キャンピングカーを買うときにだけ、急に奥さんに優しくなっても説得力がない(笑)。
【岩田】 そうですね。キャンピングカーを買おうと思ったら、そうとう前から奥さんに対して計画的に付き合っていないとならないかも(笑)。
【町田】 今日は楽しい話をありがとうございました。
 
 

町田厚成

キャンピングカーのガイドブック、キャンプ場ガイドブックなどの編集を通じて、キャンピングカーやキャンプ旅行に関する文章を20年くらい書き続けています。愛車は5mサイズのキャブコン。カミさんが機嫌が良いときは犬と一緒に旅行にお供してくれますが、仕事を兼ねた一人旅が多い昨今です。

http://campingcar2.shumilog.com/

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