1. トップ
  2. コラム一覧
  3. わたなべたつお2016年01月15日付けコラム
コラム

奥様の説得方法教えます

町田さんの楽しいコラムに引き続きで申し訳ないのですが、私も「キャンピングカーと奥様」について少々。

アメリカやドイツなど、海外のショーに行って驚くのが、キャンピングカー選びの主体が奥様だということ。
キャラバンサロンでの一コマキッチンや収納を隅から隅までチェックし、メジャーテープであちこちを採寸してはメモをとる。ディーラーやビルダーのセールスマンをとっ捕まえて、次々に質問攻めにする…。これすべて、女性なのである。旦那はどうした?と見回すと、いたいた。奥様の隣に立って一緒に話を聞いているのはまだ良いほうだ。愛犬と一緒に展示車の外で、手持無沙汰げにスマホをいじる…なんて人もよく見かける。
これって、どこかで見た光景じゃないか? と、ふと思い出した。デパートだ!婦人服売り場のエスカレーター脇や階段脇のベンチに、ぐったりと座り込む男性諸氏。私もたまに、その一人だったりするのでよくわかる。

だが待て。日本のキャンピングカーショーではあまり見られないこの光景。確かに“家”を選ぶのだから真剣になるのは当然といえば当然なのだが、この違いはなんだろう?
ドイツで取材していて、何人か女性ユーザーの話を聞いたことがある。
ショーには新しい部品を見に来た、という女性は「引き出しの建て付けがよくないから、使いやすくするのと同時に、取っ手をおしゃれなものに変えたい」と話す。初老の女性は、冬になったら長期のクリスマス休暇を利用して孫とスキーに行くといい、「寒さに強いのは、やっぱり北欧のビルダーよね、北欧のデザインも素敵だわ」とスウェーデンのビルダーのブースへ消えていった。話を聞いていて思うのは、総じて目的や希望が具体的なのだ。
次はどうしよう。次は何をしよう。キャンピングカーが彼女たちの生活に見事に浸透しているのがよくわかる。自分の家をお気に入りの雑貨や家具で飾る。機能的でおしゃれに暮らしたい。そんな感覚なのだろう。うちのカミさんもたまに、インテリア雑誌をぼーっとうらやましそうに眺めているが、確かにインテリア好きの女性は多い。実際、街中の雑貨店やインテリアショップもにぎわっている(らしい)。

そういえば日本のキャンピングカーショーでも、最近は熱心に見て回る女性の姿をよく見かけるようになった。キャンピングカーがもっと浸透して、「休日だけの私の部屋」なんていう位置づけが定着すれば、きっともっと、夢中になる女性が増えるのではないか?まだまだ、日本の女性に「キャンピングカーのある生活」が実感してもらえていないんじゃないか?そんな風に思えてならないのだ。

実際、「キャンピングカーが欲しい!」と言い出すのは、大抵が旦那である。それを聞いた奥様は「ほらまた始まった」と言わんばかり。
「そんなもの買ってどうするの?」
「うちにそんな贅沢する余裕はありません!」
「それを買うお金で、何回海外へ行けると思ってるの?」

これまでに私に相談しにきた旦那様方が、奥様方からいただいたコメントの数々である。中には強烈な方もいた。

「ベンツやBMWだったら600万円だって納得するけど、なんで配達の車に600万円も払わないとアカンねん!」

大阪でのキャンピングカーショーだった。理不尽なキレ方をする奥様にご主人は苦笑い。あたりを見回せば確かに、並んでいるのはハイエースやキャラバン、カムロードである。まあ、どれもこれも、商用車かトラックにしか見えないのもうなづける。きっとあの奥様には、何が面白いのかさっぱりわからなかったのだろう。車を遊び道具と見るか、ファッションアイテムと見るか。ここまでくると、あまりのすれ違いっぷりがすがすがしいほどである。

まさかずっと立ち聞きしているわけにもいかず、その論争の結果がどうなったのかは知らない。が、世の旦那衆は、そんな価値観の違いを乗り越えようと、必死で説得にかかるのである。おおむね、
「この車なら普段使いもできるよ」
「子供と遊べるのは今のうちだよ」あたりが説得材料だろう。

が、敵もなかなかに頑なである。返ってくるのは
「こんな大きな車、私運転できないわよ」
「どこに置くのよ?」
「あなたそもそも、アウトドアなんてやったことないじゃない!」

という反撃である。
だが、ここで意気消沈していては、キャンピングカーは手に入らない。
私も相談されれば、相手が何を不安がっているのかをきき、なるべく具体的なアドバイスを差し上げるようにはしている。

大きさが不安 → 数字で見れば、実はたいしたことはないですよ。
アウトドアなんてイヤ → 実はキャンピングカーって、インドア遊びなんですよ。
という具合である。

キャンピングカーの普及こそがわが使命、と、勝手に自任している私としては、こうした奥様方の攻略法こそがカギではないかと思っており、さまざまな側面から研究もしているつもりである。そして、何組かのキャンピングカー購入を手助けしてきて、うっすら見えてきたことがある。

奥様方が、あまり大きな声では言わないが、頑なに反対する理由の一つ。それは
「キャンピングカーで旅行に出たら、結局私がオサンドンしなきゃいけないじゃない!」ということなのである。

旅行先だからこそ許される上げ膳据え膳。のんびりお風呂に浸かったら、部屋には布団がきれいに敷かれている…。それこそが旅の楽しみなのに、キャンピングカーじゃそうはいかない。食べること、寝ること、すべてが生活の延長で、私の仕事は変わらない…というわけだ。でも、そんなことを口に出すのは、なんだかだらしなく思われそうで、言うに言えない。これが本音、なのである。

協力的な奥様ももちろん多い言われてみれば、確かにそうだ。
専業主婦がたまの骨休めをするなら、家事から解放されたいに決まってる。兼業主婦ならなおさらだ。家事に仕事にてんてこ舞いの日々から離れたい。だったら、その夢を叶えてあげればいいのだ。

毎日の食事の支度から解放されたい → ならば、旦那が作ればいい。
ただし、普段まったく料理しない人は例外。「何言ってるの、できるわけないでしょ!」と睨まれるがオチだ。だったらむしろ、旅先は必ず外食にする。郷土の味を楽しむのも、旅のひとつだ。

ふとんの上げ下ろしがイヤ → キャンピングカーの格納タイプのベッドは展開するだけで楽しい。それぐらい旦那がやってあげよう。余裕があるなら、テーブルを畳まなくても寝られる常設ベッドのある車にすればさらに完璧だ。

実際、「旅先では、君に料理はさせない!」「ベッドメイクも食事の後片付けも僕がやるから」このふたつを約束するだけで、結構、成功率は上がるのである。

おかしなもので、一生懸命説得して、やっとこさ許諾をもらい、いざ契約となると、契約書の5mmぐらい手前でなぜかハンコが止まるのが、旦那という生き物。そして、一旦腹をくくったら迷いなし、「いいから早く押しなさいよ!」と背中をどつくのが奥様、というのも、これまたよく見る光景なのである。

わたなべたつお

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。 朝日新聞デジタルで週刊コラム「キャンピングカーで行こう!」連載中

http://www.asahi.com/and_M/campingcar_list.html

関連コラム

旅先で
Let's go SHOPPING!

山口則夫

2018年06月15日公開 (2018年06月09日更新)

“キャンピングカーの聖地”北海道の魅力とは!?

岩田一成

2018年06月01日公開 (2018年01月30日更新)

日本のトレーラー事情は楽しさいっぱい

TAMA@MAC

2018年05月18日公開 (2016年02月26日更新)

台湾キャンプ事情! こっそりpart2

沖田雅生

2018年04月27日公開 (2017年05月15日更新)

キャンピングカーで回った中部のおすすめ道の駅〈エンターテイメント!〉

浅井佑一

2018年04月15日公開 (2015年10月02日更新)