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コラム

日本はキャンピングカー天国だ

キャンピングカーに関する記事をネットなどで書いていると、ときどきネガティブな意見が寄せられることがある。ネットのことゆえ匿名のコメントなのだが、たいていが「使ったことがない」「持っていない」人であろうと予想できることが多い。
どんな先入観をお持ちか知らないが、よく知ろうともせず悪口を書く人もいる。だが、知りたくない人は致し方ないとして、「誤解なんだよなあ」と残念に思う意見もある。
その代表的なものが「日本はどうせ狭いんだし、交通も発達してるんだからキャンピングカーなんていらない」というものだ。

日本は狭い?つまらない?

キャンピングカーショーの場でも、「こんなものいらない」「いつ使うの?」という声を聞く。家族の中で意見が割れているのだ。たいてい欲しがっているのはお父さんで、いろいろと意見を並べて抗弁している。がんばれ!お父さん。
仲間内にも「もとは反対してたんだけどね…」という奥様がいる。聞けば、最初にキャンピングカーと聞いてイメージしたのは、広大なアメリカの大地だったとか。
「あんなにだだっ広くて、一日走っても宿もないようなところなら必要でしょうけど、って思ったんです」
確かに、国内津々浦々、鉄道は走っている。少し走ればコンビニもある。どんな田舎へ行っても、それなりに生活インフラがあるのが日本だ。
アメリカ大陸や地続きで旅ができるヨーロッパ(EU圏内なら国境にパスポートコントロールもない)に比べれば、確かに日本は狭い。だが、実は青森から鹿児島まで走れば2000kmもある。「日本は狭い」とか、「どこへ行ってもそんなに変わらない」とか。そもそも日本人は、自国を卑下しすぎてやしないか?と言いたくなる。
そもそも「(国土が)狭いからキャンピングカーは要らない」というのも、反対する理由になっているようでなっていないように思うのだ。実際そんな相談を受けたとき、私は「むしろ狭くてラッキーですよ」と答えることにしている。

旅のスタイルが広がるツール

確かに日本は、全国どこへ行っても言葉は通じる。新幹線のおかげで、端から端まで、半日もあれば到達できる。だけど、そんなに単純な話だろうか。日本という国の魅力を、わかった気になっていないか?と思うのだ。
たとえば、ここ数年話題のインバウンド。主にアジア圏からたくさんの旅行客が日本へと押し寄せている。聞けば、富士山、奈良・京都、広島、長崎といったワールドワイドに有名な観光地のブームから、最近では日本人の知らないローカルスポットにまで彼らは訪れているという。もしかしたら日本人よりよっぽど、コアでレアなスポットを知っているかもしれない。
旅のスタイルは人それぞれだ。ツアー旅行、パック旅行が好きな人だっている。だが、大人になればそれなりにテーマを持った旅をするようにもなる。名所旧跡はもちろん、好きな人(歴史上の人物でも、作家でも画家でも)の足跡をたどってみるのもいい。温泉巡りもローカルグルメ旅もいい。好きなアニメ作品の「聖地巡礼」だって立派なテーマ旅だ。
そして、そんな旅をかなえてくれるのがキャンピングカーなのだ。
新幹線や国内線の飛行機のおかげで、移動にかかるスピードは格段に向上した。どこへ行くのも便利だが、その駅と駅、空港と空港の間に何があるのか、見過ごされていることが多い。日本にだって、バスが一日に1本しか来ない土地もある。ホテルや旅館が一軒もない町だってあるのだ。

狭いからこそ、自由に歩こう!

考えてみてほしい。少し走って隣の県に行くだけでも、食べ物が変わったりする。半日も走れば、うどんのつゆの色が変わる。山から海へ、海から山へも、すぐだ。言葉が変わる。料理が変わる。酒も変わる。
食だけではない。いったい日本全国に、温泉はいくつあるだろう。
こんなに小さな面積の中に、こんなにバラエティ豊かな見どころがぎゅっと詰まった国など、そうそうないのだ。それが私のいう「狭いからこそラッキー」の真意なのである。
そんなバラエティ豊かな日本を遊びつくすには、キャンピングカーはうってつけだ。地元の人しか行かないような店がみつかるかもしれない。観光客用ではない、本当の郷土料理に出えるかもしれない。足(?)の向くまま気の向くまま、自由な旅ができる。それというのも、日常生活を旅先まで持ち出すキャンピングカーならでは、なのだ。
そしてもうひとつ。日本のキャンピングカー旅には大きなメリットがある。世界中が真似したくても簡単にはかなわないこと。それは日本という国の安全性だ。
例えばアメリカの多くの州では、所定の場所以外での車中泊は禁止である。知らずに泊まれば、即警察沙汰だ。なぜか。治安が悪いからである。エリアによっては車上強盗の心配すらあるのに、のうのうと車の中で寝るなんて、というわけだ。その点日本は、交通事故はあっても、窃盗や暴行などの犯罪にキャンピングカーが巻き込まれたという話をまず聞かない。私自身、20年以上乗っていて、怖い思いをしたことは一度もないのだ。

日本には日本のキャンピングカー

取材や商用でアメリカやヨーロッパへ行ったことは何度もあるし、当地で運転もする。自分でハンドルを握ってさんざん走ったので、その広さも不便さも嫌というほどわかっている。とにかく市街地を一歩離れれば、文字通り「何にもない」。買い物や休憩のタイミングを逸すると食事にすら困る。アメリカではまる半日、一度も曲がり角に出会わなかったことすらある。ほうほうのていでたどり着いたドライブインも、どこへ行っても食べられるのはハンバーガーかステーキというバリエーションの乏しさだ。
だからこそ、アメリカ製、あるいはヨーロッパ製のキャンピングカーなのだと思う。家庭用と変わらないサイズの冷蔵庫。水タンク。丸一日補給できなくても生活できるだけのものを蓄えて移動できる。ベッドにシャワー、トイレ。生活インフラまるごとである。
そういう経験からすると、日本は本当にありがたい。高速道路にはSA・PAがあり、24時間トイレも拝借できる。飲み物や簡単な食べ物も買える。温泉は全国に湧いているからシャワーもいらない。日本には日本のインフラに合わせたキャンピングカーが発達しているのだ。
(そういう私は、好き好んでアメリカンクラスCに乗っているが、それは別の話)。

こんなに多彩な国にいて、しかもあなたが旅好きなら…キャンピングカーほどうってつけのツールはないと思うがいかがだろうか。

わたなべたつお

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。 朝日新聞デジタルで週刊コラム「キャンピングカーで行こう!」連載中

http://www.asahi.com/and_M/campingcar_list.html

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