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コラム

キャンピングカー2人旅のコツ

 ャンピングカー白書2016年版によると、夫婦2人で「くるま旅」を楽しむ人の率は62.9%。子連れのファミリーで使っている人たちを34.6ポイントも離している。
 また、キャンピングカーの購入動機においても、「夫婦2人で旅行を楽しむため」という理由を掲げた人は49.5%にのぼる。
 どうやらキャンピングカーは、現代社会におけるシニア夫婦の大切な旅行手段になってきたようだ。
 
 しかし、「2人旅」には、旦那さんが覚えておかなければならないコツがあるのだそうだ。
 あるキャンピングカービルダーの社長さんから、取材の合間にそのコツを伝授してもらったことがある。
 その方を、仮に「○○氏」とする。
 年齢は、60歳を超えた方である。
 以下、○○氏との雑談を、ほとんど加工することなく、そのまま記す。
 
 
【町田】 ○○さんは、キャンピングカーを作って売っていらっしゃいますけど、ご自分でも奥様といっしょにキャンピングカー旅行に出かけることはあるんですか?
【○○】 ああ、ありますよ。
【町田】 そういうとき、夫婦ゲンカしたりしないですか?
【○○】 昔はありましたけれど、今はもうないね。だって、あの狭い空間で、もし仲が悪くなったら逃げ場がないじゃないですか(笑)。
 だから、気まずい空気が流れ始めたら、すぐこちらから折れる。
 旦那は黙って女房の小言を聞いていればいいんですよ。もうひたすら隠忍自重(笑)。
 

【町田】 それが “○○家” の夫婦円満のコツということなんですね(笑)。
【○○】 だってそうでしょ。若い夫婦ならいざ知らず、お互いに年をとってくると、相手が何を好きで、何が嫌いかということも分かってくるじゃないですか。食べ物でも、趣味でも、考え方でも。
 で、ケンカが始まるのは、だいたい女房の嫌がることを旦那がしたときだよね。そういう失敗を繰り返していけば、学習しない旦那の方がおかしい。
 
【町田】 逆に、奥様の方が旦那の嫌がることをしたら?
【○○】 それはない。… というのは、女は、基本的に相手の嫌がることをしないもんなんですよ。ただ、自分の感情が害されたときに反発するだけ。
 だから、夫婦円満のコツは、旦那が奥さんにすべての主導権を譲ること。財布もね。そうすれば、女房は旦那のために一生懸命がんばるものなんです。 
 まぁ、夫婦がほんとうに楽しい時間を過ごせるようになるのは、お互いが60過ぎてからでしょうね。
 だから、その年齢が来る前に、円満な関係をつくっておくことが大事なんですね。
【町田】 それには、若い頃からキャンピングカー旅行するのがいちばんだと?

【○○】 そう言いたいところだよね。我々の商売としては … (笑)。
 でも実際そうですよ。キャンピングカーで2人旅をしている夫婦で、不仲なカップルというのは一組もない。
【町田】 すでにその段階で、円満の障害となるようなハードルをひとつ乗り越えているということかな。 
【○○】 そうでしょうね。… というかね、家にいるときの気まずい空気を、キャンピングカー旅行って、吹き飛ばす力があるんですよ。
 たとえば、お互いに、ちょっと腹の虫が治まらないようなことがあって、夫婦間に沈黙が訪れたりすることがあるじゃないですか。家の中じゃ気まずいだけですよね。
 でも、不思議なもので、その沈黙が、キャンピングカー旅行で2人並んで夜空なんか眺めていると、“豊かな沈黙” に思えてくるの(笑)。
 
【町田】 錯覚するんだ(笑)。
【○○】 いや、錯覚ではなくて、「沈黙の意味」をお互いに問い直す … というのかなぁ。「あいつのここが許せない」という気持ちが、「やっぱり俺の方が悪かったかな」という反省に変わるんだよね。

【町田】 ああ… 、そういうことってありますよね。それが旅行の力かな。
【○○】 そうなんだよね。キャンピングカー旅行って、一種の “密室の移動” でしょ? 乗用車のドライブだって走行中はそうかもしれないけれど、キャンピングカーは泊まるときも密室だよね。
 そうなると、やることがないから、話し合うんですよ。
 最初は月々の支払いとか、子供や孫の近況とかいう日常的な会話からスタートするかもしれないけれど、だんだん出会ったころの思い出とかさ。
 
【町田】 昔いっしょに見た映画の感想とか。
【○○】 そうそう。
【町田】 「若い頃のあなたは、ほんとうに素敵だったわ」とか(笑)
【○○】 ハハハハ(笑)
 
 
 
【町田】 そういう時間って、家のなかでは、あんまり経験しませんよね。
【○○】 でしょ? だいたい旦那がリタイアして家にいると、旦那は日経新聞なんか読んで株やって(笑)。奥様は近所の奥様同士でランチ会に行ったり … 。そんな繰り返しで時が流れていく。
 
【町田】 味気ないよね。
【○○】 そういうときに、キャンピングカーが1台あって、一緒に旅に出るというのは、ひとつの「シニア文化」だと思うんですよ。
 キャンピングカーの狭い空間というのは、お互いを再発見する空間なわけだから、いわば “夫婦の活性化空間” (笑)。
 その意味は、当人同士も気づいていないだろうし、社会も気づいていない。
 でも、それは確実に、ひとつの「シニア文化」を形成しているんですよ。
【町田】 キャンピングカー業界は表彰されてもいいね(笑)。
【○○】 ほんとうだよ(笑)。

【町田】 夫婦2人のキャンピングカー旅行で、旦那が何か気を付けなければならないことって、ほかに何かあります?
【○○】 行く先も、選ぶ道も、すべて奥様の好きなように任せること。運転中だって、「あなたこっちの道へ行ったら?」と言われれば、「はい」と答えて、そのとおりにする。
 「あっちへ行って何が見たい」、「こっちへ行ってあれが食べたい」と言われれば、すべて「はい」(笑)。
 最初からビシッと予定を立てる旅なら、そうはいかないかもしれないけれど、キャンピングカー旅行って、基本的に「予定なし」の旅が可能だからね。予定を決めないところで生まれるハプニングを楽しめるのがキャンピングカー。
 
【町田】 だけど、その奥様の行き先選びが、非常に不合理だったり、無駄な時間を費やすコースだったら?
【○○】 そこは我慢(笑)。結果的に女房が失敗したことが分っても、そこでけっして嫌味を言わない。
 「お前がこっちの道に行こうと言ったから、遠回りになっちゃったじゃないか」
 なんて小言をいって女房を機嫌悪くさせたら、せっかく女房に従ってきた旅を台無しにしちゃうでしょ。それは自分にとっても損なんですよ。
 
 
【町田】 ほかに、旦那が気を付けることは?
【○○】 あとは、キャンピングカーだからといって、何が何でも車内で泊ろうとすると無理が出ますね。
 だいたい自動車旅行というのは、どんな良い車を使っても疲れが出るんですよ。
 だから、疲れたときは、少しお金がかかっても、思い切ってホテルに泊まる。それが奥さんの疲労を取るだけでなく、自分の疲れも軽減させることになりますしね。
 
【町田】 よく道の駅などの車中泊で、食事をカップ麺ですまそうとする旦那が、「なぁ、家で食うカップ麺は味気ないけど、こういうところで食うカップ麺はうまいだろ?」って … 。
【○○】 ああ、それはいちばん駄目なケース(笑)。一度や二度は、そういう環境を楽しむのはお互いに面白いと思うけれど、それが続くと駄目ですね。
 基本的に、奥様が旅行を楽しむときは、グルメの比重が大きいんですよ。
 海なんか見える駐車場で、男がカッコつけながら一人カップ麺を食べるのは、映画のシーンみたいで、それは一つのロマンだと思うけれど、それはあくまでも “男のロマン” 。
 
【町田】 よくキャンプ場などに行って、旦那がいろいろ料理を作って奥様を慰労することが喜ばれるといいますけど。
【○○】 う~ん …… 。でも、それは条件が付きますよね。
 だってね、…… まぁ日頃料理を作り慣れている男性は別ですよ。でも急にフライパンを振ったって、慣れないとそんなにおいしいものはできないですよ。
 それに、男料理はコストがかかる。
 食材だって、日頃スーパーなんかに行って研究していないと、いちばん高い物を買ってくる(笑)。
 でも、そうやって旦那さんが一生懸命料理を作ってくれるということに対して、奥様は愛情を感じるのではないかな。
 だから、行動としては正解ですね。
 
 
【町田】 キャンピングカーの車内で調理する場合 … といってもキッチン機能が充実した車でないと駄目でしょうけれど、そういう車内調理が可能な場合、うまい料理を作るコツってのがあるんですか?
【○○】 たいていのユーザーさんたちは、「車内で食事するときは、スーパーで出来あいの惣菜を買ったり、電子レンジで冷凍物をチンするだけだよ」
 と、よくいいますけれど、電子レンジでもうまく使えば、けっこういつもの家庭料理が楽しめるんですよ。
 
【町田】 そのコツは?
【○○】 冷蔵庫ですよ。特に冷凍庫付きなら理想的ですね。つまり、出かける前に下ごしらえした食材を冷凍して用意しておくんですね。
 で、それを冷凍庫に保存して移動すれば、行く先々で解凍するだけで、いつもの家庭料理が楽しめる。特に食事療法が必要な人などは、食べ慣れた物の方が安心できますしね。
【町田】 ま、飽きたら外食すればいいんだしね。
【○○】 そうです。家庭料理から外食。冷凍ものからカップ麺まで(笑)。どんな食事でも楽しめるのがキャンピングカー旅行です。
 
 

町田厚成

キャンピングカーのガイドブック、キャンプ場ガイドブックなどの編集を通じて、キャンピングカーやキャンプ旅行に関する文章を20年くらい書き続けています。愛車は5mサイズのキャブコン。カミさんが機嫌が良いときは犬と一緒に旅行にお供してくれますが、仕事を兼ねた一人旅が多い昨今です。

http://campingcar2.shumilog.com/

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