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コラム

あなたは国産派?輸入車派?

各地で行われるキャンピングカーショーには、国内外の、最新のキャンピングカーがずらりと並ぶ。

普通乗用車の世界では、輸入自動車もすっかり定着してきた。以前は「お金持ち」や「一部の好事家」ものという扱いだったが、そんな時代も今は昔。何より自動車メーカーそのものが、世界レベルで行ったり来たり。日本のメーカーがヨーロッパ傘下に出たり・入ったり。おかげさまで価格も落ち着き、メンテナンスや修理サポートも受けやすくなった。
さて、キャンピングカーはどうだろう。どうも相変わらず、輸入車の肩身は、若干狭い気がする。
会場にいると、来場者からさまざまな相談を受ける。その方の希望や事情をなるべく詳しく伺って対応するようにしているのだが、「この人には輸入車が良さそうだな」と思っても、帰って来る返事は「外車?とんでもない!」。
いわく、
「壊れるでしょ?」「高い・デカイ」。そしてやっぱり「贅沢」。
「キャンピングカーを持つっていうだけで大変なのに、その上外車だなんてとんでもない」というわけだ。

……うーん。

国産車のいいところ・弱いところ

日本の自動車は素晴らしい。アメリカが脅威に感じるぐらいなんだから、間違いない。何しろ故障知らずで働き者だ。
ここに一言付け加えるなら、「日本のビルダーは素晴らしい!」。お世辞でも何でもないです。本当に。
隅々にまで目を配り、日本での使いやすさを追及している。使い勝手の良さや快適さをつき詰める真摯さはまさに日本人だなあと思うし、それを実現できるだけの技術力、匠の技も「モノづくりニッポン」らしいところ。
国産キャブコンはもちろん、バンコンも、ファミリーユースを想定して、限られた空間に実に多彩な設備が盛り込まれている。
テーブルからベッドに。収納に。カラクリでも見せられているのかと思うほどあざやかに、展開してゆく。それほど複雑な造りの家具なのに、走行中、きしみ音もない。

国産キャンピングカーを象徴する設備だなあ、と思うのは「下駄箱」だ。
欧米人は家の中で靴を脱がない。キャンピングカーでも同様だ。だから、欧米のキャンピングカーに、下駄箱はない。
もちろん、国産キャンピングカーには下駄箱がついている。それも、ビルダーによっては、走行中、靴が飛び出して来ないように棚板を奥に向けて傾けてある。一番奥には隙間を作り、砂や水が一番下の段に集まるようにさえ、なっている。
こんなことにまで気を配れるのは、日本人だけだ。
※すべての国産キャンピングカーが、このようになっているわけではありません。

一方、国産キャンピングカーにも、弱点はある。ベース車両だ。
国産キャンピングカーの多くは、商用車をベースにしている。商用車、ということは、経済性が最優先で乗り心地は二の次。純正シートなんて、腰痛持ちには拷問か?と思えるほど、クッションは薄い。エンジンも、車種によっては悲しくなるほど非力だったりする。だから、国産車の中からキャンピングカーを選ぶなら、旅のスタイルをじっくり考えて選ぶといいですよ、とアドバイスすることにしている。
日本一周!とか、北海道へ!とか。長距離をものともせずに旅しようとするなら、乗り心地や走行性能は、けっして馬鹿にできないポイントだ。

輸入車のいいところ・弱いところ

私自身は、アメリカ製クラスCに乗っている。だからというわけではないが、長年使っていて思うのは「キャンピングカー先進国の底力が見えるなあ」ということだ。

アメリカにもヨーロッパにも、創業70年以上だったり、年間生産台数が日本全体の年間総生産台数を超えるビルダーがごろごろしている。
市場規模が大きいので、部品メーカーも数多い。エントランスのドア専門、プルダウンベッド専門、なんていう会社まである。日本のビルダーでも、窓などにこういった欧米の部品メーカーの製品を採用しているところは多い。

・アメリカ車
最近の事情に目を向けてみると、アメリカンキャンピングカーにもダウンサイジングの波が押し寄せている。世界をとりまくエコの波には逆らえず、低燃費でサイズもコンパクトな車両が続々登場。相変わらず、日本では登録すらできない巨大なものもあるにはあるが、フォード・トランジットやラム・プロマスターをベースにした、手ごろなサイズの商品が増えてきた。
とはいっても、まだまだ国産車に比べれば大きい。おおらかでゆったりとした空間と、豊富な設備が何より魅力だ。その大きさが魅力でもあり、弱点でもあり。置き場所に困る、狭い道が苦手、は相変わらずだし、燃費的にも厳しい。
最近はターボディーゼルエンジンが増えてきたおかげで、かなり改善されてきたのは、一筋の光明だろう。

・ヨーロッパ車
何といっても、オシャレ、である。これについてはかみさんの得意分野で、毛の先ほども共感できない私だが(毛ならもともとないし)。しかし、その洗練されたデザインは、特に女性を中心に人気が高い。サイズ的にも国産車に近い。先進のクリーンディーゼルで環境に優しく、昨今人気上昇中のフィアット・デュカトベースの車両など、燃費も走行性能も素晴らしい。また、右ハンドル車が選べるのも、日本人にはありがたい。
弱点があるとしたら、車幅はともかくも、車長については意外と無頓着なところ。6m超となると市街地で少々気を使うなど、国産車とまったく同じように扱うわけには、さすがにいかない。


日本、アメリカ、ヨーロッパ。それぞれの国の事情を、色濃く反映しているのがキャンピングカーだ。グローバル化の影響で、昔に比べればクセは減ったとはいえ、やはりそれぞれ個性があって面白い。
その車が生まれた国の、道路事情、生活様式、そして気候。後ろ半分は家なんだから、当たり前といえば、当たり前か。
個人的には、二輪、四輪含め、乗り継いできたクルマは、輸入車が多い。
「外車って、どうですか?」と訊かれれば「個性もクセもありますが、そこが面白い。まあ国際結婚みたいなもんですよ」とお答えしている。
かみさんは日本人だが、むしろ「異星人」なのでこの話題の範疇外なのである。

わたなべたつお

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。 朝日新聞デジタルで週刊コラム「キャンピングカーで行こう!」連載中

http://www.asahi.com/and_M/campingcar_list.html

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