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コラム

キャンピングカー旅、何を食べるか

キャンピングカーで出かけると、たいてい「食い倒れ」の旅になる。
仲間とのキャンプ大会だと、料理自慢の友人たちが、思い思いに腕を振るう。いろんな家の味を楽しんで、胃袋はぱんぱんになる。
我が家だけのソロキャンプとなると、かみさんはしきりとネット検索を始める。意地でもおいしい物を食べて帰ろうとする様は鬼気迫るものがある。
そう、旅の大きな楽しみのひとつは、なんといっても「食」である。
夜中のサービスエリアでも、見知らぬ土地のコンビニでも、ほぼ24時間、何かしら食べ物にありつくことはできる。便利な時代になったと思う反面、やはり旅先では、その土地ならではの味を楽しみたいものだと思う。

インターネットこそキャンピングカーの友

メジャーな観光地でなくても、幸い、ネットにはたくさんの情報があふれている。さらにネットのすごいところは、マイナーな土地の隠れた名店や、観光客向けではない商店、地元の人しか行かないような穴場の情報が何かしらみつかるところだ。
しかも、情報にたどり着くルートは、検索ばかりではない。
キャンピングカーユーザーにはSNSを利用している人も多い。世界中の人々と瞬時に繋がれるインターネット。一言投げかければ、目的地周辺に住む人たちから、さまざまな情報が帰って来る。口コミというのも、生の情報ならばそれだけ信憑性も高い。

これまで、ネットの力、SNSを通しての仲間たちのアドバイスで、どれだけおいしい思いができたか計り知れない。

その土地を「食べて知る」

仕事柄、旅は遊びなのか業務なのか、あいまいになることは多い。
旅もの、グルメもののライターをしている知り合いによれば、後から自腹を切ってでも行きたいと思う店は、取材したうちの2割にも満たないという。
じゃあ、我が家が今まで仕事や遊びで訪れた中で、もう一度行きたい店って言ったら、どこだろう。そう考えると、そういう店はただ料理がおいしいだけでなく、新しい発見や出会いがあったことに思い当たる。

信州のオーガニック野菜で知られたレストラン。店の裏口を開けるといきなり畑なのだ。地産地消どころの騒ぎではない。足りない野菜があると、スタッフが長靴を履いて収穫に行くほど。
「14時にはランチ営業が終わるんです。そのあと、夕方の仕込みまでは休み時間なんですが、スタッフはみんな、野良着に着替えて畑仕事に出ちゃう。手塩にかけた野菜のことが、やっぱり気になるんですね」。
そのコメントだけでも、野菜への愛情が伝わってくる。シェフに、採れたて野菜を手に、畑の中でポーズを取ってほしい、とお願いすると、トウモロコシを2,3本、目の前で手折ってくれた。十分に実ったトウモロコシを収穫するところというのは初めて見たが、ぱきっ、と折った瞬間、ざざっ、と音をたてて芯から水が流れ出た。それほど、採れたてはみずみずしいのだと思い知った。
肝心の料理は、それはもう、まずいわけがない。気取らないイタリアンで、畑の恵みがそのままパスタソースやスープになってテーブルに並んだ。

料理はおいしかったが、ほろ苦い失敗談とともに記憶されている店もある。
焼き立てパンが食べ放題の、高原のベーカリーレストラン。しゃれた作りで、近隣住民にも人気だから早めに行かないとランチはすぐ満員になるという。ならば、とネットとナビで探し出し、キャンピングカーで乗り付けたはいいが、我が家の車は決して小さくない。どうにか駐車場に車を収めたものの、店正面の窓をどーん、と我が家のトラックみたいな愛車でふさぐことに。
席に案内されてわかったのだが、ダイニングルームの大きな窓からは、遠くに雪を戴く連山が見え、高原の風景が広がる素晴らしいロケーションだったらしい。
その日のランチタイム、その窓の向こうにあったのは、我が家の巨大なキャンピングカーの側面だった。居合わせたお客さん達、その節はすみませんでした…。

その土地にお金を落とす

もちろん、旅先で料理をするのも楽しみのひとつ。
土地勘のない場所で、予定のレシピの全材料がそろうとも限らないので、食材を持参することももちろんあるが、できるだけ地場のものを、1品でもいいから使いたいと思っている。
冷蔵庫のついたキャンピングカーなら、設備を活かさない手はない。
山へ行くはずでも、事前にあえて漁港に立ち寄り、新鮮な海産物を仕入れる。
山へ上がる寸前の道の駅で、野菜を買い込み、山間のキャンプ場で海鮮鍋、なんていう贅沢もキャンピングカーだからこそできる遊び方。

道の駅は、安心して仮眠できるだけではない。近隣でとれた新鮮な食材が、現地価格で手に入る。一宿の義理、何か一つでも買っていくのが、旅人の心意気というものだろう。

思い返してみると、旅の思い出はたいてい、食べ物に繋がっている。
もちろん成功ばかりとは限らない。
紹介してもらって出かけた店の味が、好みに合わなかったことだもある。
道の駅で勧められて買った青魚の一夜干しを持ち帰り、さっそく晩のおかずにしたら、とってもおいしかったのと引き換えに、かみさんがじんましんを起こしたことも。

そんなこんなも、旅のスパイス。
さて、この冬はどこへ、何を食べに行こうか。

わたなべたつお

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。 朝日新聞デジタルで週刊コラム「キャンピングカーで行こう!」連載中

http://www.asahi.com/and_M/campingcar_list.html

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