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コラム

キャンピングカーと防災

今年の4月14日、夜9時26分。大きな地震が熊本を襲った。それから2週間が経った28日現在、地震の被害範囲は大分県へと広がり、震度1以上の揺れが1000回以上にもなるという。気象庁でさえ、過去に例がないと発表するほどの規模になっている。

今回の震災で亡くなられた方に心よりご冥福をお祈りします。また、現在もつらい避難生活を送っているであろう、すべての被災者の方々、ご家族、ペットたちには、心からお見舞い申し上げます。
そして、救助救援のために努力を続けている自衛隊の方々、ボランティアの方々。本当に頭が下がります。キャンピングカーのビルダーやユーザーの中にも、今回の災禍を受けて、自分達にできることを、と、現地に飛んだ方々や、募金に協力している方々がいます。私も今すぐ動けなくても、何かできることを、と、仕事を通して、考えています。

さて、そんなタイミングで今回執筆するコラムは、キャンピングカーと防災。
今までにもキャンピングカーショーのセミナーで、あるいはWeb媒体のコラムで、取り上げたことのあるテーマである。
「キャンピングカーは遊び道具としてだけでなく、いざというとき、防災シェルターとして役に立つ」。
そんなこと、この日本RV協会のサイトを見に来る人なら、言われなくてもお分かりだろう。なので、ここでは、

■どう役立つか・どう役立てるか
■いざというときのことをシミュレーション
■「キャンピングカーを持っている」ことをどう考える?
そして
■日本RV協会が今回の震災にどう取り組んだか
をテーマにしてみようと思う。

■キャンピングカーはどう役立つ?どう役立てる?
大規模災害に遭ったとき、キャンピングカーがあったら…役に立つポイントは次の3つだ。

・プライバシーが保てる
・生活インフラが確保できる
・ペットも一緒に避難できる

たった3つと思うなかれ。この3つがどんなに大切か。たまの1日ならいいだろう。いつ終わるとも知れない避難生活、どれひとつが欠けても、大きな精神的・肉体的ダメージを受けることばかりだ。
ただ、キャンピングカーさえ持っていれば、黙っていても上記の3つがそろうわけではない。せっかくのキャンピングカーを役立てるためには、いざというときに備えておかねばならない。

・生活インフラを常にチェック
バッテリーはあがっていないか。清水タンクに水は入っているか。汚水タンクは空にしてあるか。備蓄食料の消費期限は切れていないか。さらにはタイヤがパンクしていないか、燃料が入っているか。即使える状態を維持すること。

・ペットの生活も用意する
ペットが滞在するためのスペース、ケージの置き場所は決めてあるか。走行中はどこにいさせるか。ケージはどうやって固定するか。ペット用の備蓄食料や、常備すべき薬などがある場合は必ずキャンピングカーにも備えておこう。

■いざというときのことをシミュレーション

災害は忘れたころにやってくる。

だが、考えておくに越したことはない。予想した通りにならなかったとしても、事前のシミュレーションは必ず役に立つはずだ。

具体的に、何をどう考えるか。

・家族の連絡について
災害はいつ何時起こるかわからない。家族全員が家いいるときならいいが、東日本大震災のように、平日の昼間では、それぞれが学校や勤め先にいることが多い。そんな時、どうやって連絡を取り合うか。家族で話し合ってみよう。
誰がキャンピングカーに駆けつけるのか。みんなとどこで落ち合うのか。具体的に考えておくことは決して無駄ではないはずだ。

・住んでいる自治体の避難所と、ルールの確認
最近では指定避難所外避難者を認める自治体が増えている。
・想定外の規模の災害で、避難所に収容しきれない場合がある
・さまざまな理由で、避難所に入れない人がいる
・避難所にいなければ、食料や水の配給が得られない状況を、なくす

過去の経験から、上記のような事情に対応するために避難所以外で避難生活を送る人たちをケアする動きが出ている。
それぞれの考え方や申請の仕方は、各自治体ごとに異なる。
キャンピングカーに避難した場合も、避難所外避難となるので、必ずご自分の地元のルールを確認しておこう。
いざというときの、避難場所はどこか。そこ以外にいても、避難民として認めてもらう(指定避難所外避難者)ことはできるのか。そのためには、どこに何を申請すればいいのか、などを明確にしておこう。

■キャンピングカーを持っていることを 申し訳ない とは考えない!
避難生活も長期にわたると、誰しもストレスがたまってくる。
被災者同士の間でも、意見の食い違いからもめごとが起きたり、生活の公平・不公平についてトラブルが発生しがちだ。
災害が起きれば、必ず不公平は起きる。被災の程度だって、人それぞれだ。
キャンピングカーがあって「自分だけがいい環境にいて、申し訳ない」と思う人もいるかもしれない。だが、考えてみよう。
キャンピングカーを持っている人は、いざというときに備えたのだ。持つ人と持たない人。違いが出るのは、つらい事だが現実だ。
こんな場合、私はこう考えたらどうだろう? と思う。

「自分だけが楽をして申し訳ない」ではない。
自分が元気でいられることで、ほかの人の手を煩わせずにいられる。
場合によっては、誰かの手伝いができるかもしれない。
自分が元気な分だけ、被災者対応への負担が少しでも減るなら、それはそれで大きな意味のあることなのだ

■ボランティア活動とキャンピングカー
実際、5年前にもキャンピングカーを利用してボランティアに行った人も数々いた。ボランティアの基本は、衣食住を自分でまかなうこと。被災者用の救援物資をボランティアスタッフが使うことは許されない。そして何より、ボランティアスタッフが健康で、元気でなければ、むしろ被災地の人々に迷惑をかけるばかり。そんなとき、ボランティアのベース基地としても活用できるのがキャンピングカーなのだ。

■今回のJRVAの動き
日本RV協会として、なにか役に立てることはないか? 協会もいち早く考えたという。
今も避難所ではなく、マイカー(乗用車)の中で寝泊りしている人たちがたくさんいる。そこで、「車で寝ること」のプロとして、身の回りにあるものだけを使って、快適な車中泊環境を整える、そのノウハウを現地の方々にお伝えしたい!と日本RV協会メンバーが立ち上がった。
日本RV協会青年部部長の高森氏以下、6名がこの活動に参加。4月25日、キャンピングカショーの会場としてもおなじみの、熊本グランメッセでセミナーを実施した。
昼間の時間帯のため、仕事に出ていたり、家を片づけに行った人も多く、あまり多くの方々には伝えられなかったが、それでも実施した意味はあった、という。
実際にレクチャーできたのは3組ほど。わずかかもしれないが、その方々を通して、ノウハウを広めてもらえればいい。
また、被災者ではなくボランティアの医療関係者からも、「被災生活の快適性が向上する」など、この活動を歓迎する声が聞かれたという。

具体的には、
新聞紙や段ボールだけで、シートの凸凹やシート間の隙間を埋めるやりかたなどをレクチャーした。例えば、運転席と助手席の間を埋めることで、一人が横になれるスペースを作ることが出来る。ワンボックスやバンでなくても、横になれるのはありがたい。
実際、ステップワゴンで一家四人が寝ていたと言う家族は
「簡単なことで、使えるスペースが増えた。とても役に立った」と喜んでくれたのだとか。
今後は、夕方など人がいそうな時間帯に実施することを計画中だという。

いつ終わるとも知れない避難生活。厳しい夏がやってくる前に、一日も早く地震が収まり、復興への一歩が踏み出せるよう、できることを少しずつでも、考えていきたい。

わたなべたつお

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。 朝日新聞デジタルで週刊コラム「キャンピングカーで行こう!」連載中

http://www.asahi.com/and_M/campingcar_list.html

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