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シンポジウム「より良きくるま旅を目指して」トップ|出席者|プログラム内容|開会の挨拶|講演1 ・ 講演2 ・ 講演3 ・ 講演4 基調講演3 キャンプ場からの観察 【蒲生 哲】本日はキャンプ場の代表として、キャンプ場側から見たキャンピングカーユーザーの実態などを報告させていただく形で、問題解決のヒントを提出し、皆様の議論の材料にしていただきたい。 当キャンプ場は、日本オート・キャンプ協会さん公認の全国に10ヵ所ある五つ星のキャンプ場のひとつである。五つ星キャンプ場というのは、施設内容が整った高規格キャンプ場の目安となるものであり、流しや上下水道や電源などが、利用者が不便を感じないようにしっかりと完備されている場所であるとお考えいただきたい。 しかし、キャンピングカーサイトの利用率はけっして高くない。去年の実績では、テントサイトの利用客は2,000組以上あったが、キャンピングカーサイトの利用客は200組ほど。全体の1割にも満たない。 当キャンプ場の場合は、夏場だと6,000円。確かに、地方のキャンプ場としては、若干高いという感じがしないでもない。それは、キャンピングカーで来られるお客様たちに、キャンピングカーの機能を十分に発揮していただくための設備費も含んでいるからだが、それを「高い」と感じられる方が多いのならば、われわれも考え直さなければならない。
一方、オートキャンプ場を利用しないユーザーは、道の駅の駐車場に平気でゴミを捨て、オーニングを出してバーベキューをしている。トイレで食器洗いを行ない、カセットトイレを粗雑に処理している。複数で行動して、自分勝手で、意識が低い」 次に、当キャンプ場に来られたもう一方のご意見を紹介したい。 「キャンピングカーユーザーの中には、キャンピングカー仲間という特異な意識を共有される方々が一部いて、それぞれ暗黙のうちにルールを作ってお互いに正当化している気がする。そのような傾向はネット世界においても、道の駅などにおいても見られる。 このお二方の観察によるレポートは、極端な例かもしれないが、私の体験でもこういう事例があった。近くの漁港の身障者用公衆トイレから、電源を引いてキャンプしているキャンピングカーがいるという通報が、当キャンプ場に入ってきた。 このような事例は、一般ユーザーさんのなかのたった一例なのだろうが、キャンプ場以外の場所で宿泊されているユーザーさんたちが、いろいろな場所で少しずつ歓迎されなくなっているという気配は、感じずにはいられない。 キャンプ場を利用されないユーザーの方々の話を聞くと、 どれも、キャンプ場にとっては、構造上対応がむずかしい問題を含んでいる。 キャンピングカーの新しい宿泊システムについては、あるお客様から次のような構想をうかがったことがある。 「キャンピングカーが車中泊をするためだけの“トラベルパーキング”というものを設けてみてはどうだろうか。そこにはゲートだけを設け、ゲートの開閉は、ユーザーの持っているライセンスカードで行う。ライセンスは、一定の料金を払い込むことを条件として年一回に更新し、利用料金とゴミ回収料は、そこから引き落とす。パーキングである以上、キャンプ行為は不可。また長期滞在も不可。その代わり料金は安くする。違法者にはライセンスの発行を停止する」 当キャンプ場が、場内にこのようなスペースを設定する企画は現在はないが、そのような声がさらに増えていくのかどうか、またそのようなシステムが全国的に展開される可能性があるのかどうか、当キャンプ場を利用される方々をはじめ、たくさんの方のご意見を集めて検討したい。 基調講演3 キャンプ場からの観察 【蒲生 哲】おわり
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